海外展開の意義
高速鉄道システムの海外展開は、国内各関連メーカーの市場拡大、技術力の維持・強化に加え、資機材の安定供給、技術革新やコストダウンなど、当社へのフィードバックも期待されるものであり、当社が日本の大動脈を維持・発展させるという使命を永続的に果たすために重要な取組みです。展開先の候補は、当社の高速鉄道システムの優位性が十分発揮されるよう、新線による高速旅客専用線で、トータルシステムの導入が期待できる国や地域としているほか、知的財産権などの法制度の完備、政情の安定、巨大なインフラ投資を行う経済力という点も考慮し、現在、米国をターゲットとして取り組んでいます。
コンサルティング&コーディネーション事業
高速鉄道のような地域社会と経済の根幹となるインフラは、その国や地域の政府や企業が保有・運営すべきという考えから、当社は高速鉄道の海外展開において事業主体とはならず、コンサルティングを中心とした事業で寄与することとしています。具体的には、土木構造物・信号設備・車両・運行管理システム・修繕保守等を含めたトータルシステムを提案し、技術仕様の策定、運転・保守に関する各種マニュアルの提供等、高速鉄道の安全・安定運行に必要なコンサルティングを行うとともに、日本の関連企業を取り纏めるコーディネーションを行うこととしています。
北米プロジェクトへの取組み
東海道新幹線システムを米国テキサス州に展開するテキサスプロジェクト、及び超電導リニアシステム(SCMAGLEV=Superconducting MAGLEV)を米国北東回廊に展開する北東回廊プロジェクトに関する取組みを継続しています。
テキサスプロジェクト
テキサスプロジェクトは、米国テキサス州のダラスとヒューストンという2大都市間を東海道新幹線型高速鉄道で結ぼうというもので、その開発主体であるTexas CentralPartners社及び子会社(以下、まとめて「TC」という。)が、技術仕様の策定、運営・保守計画の作成、建設資金の調達等の事業開発活動を進めています。当社は現地子会社High-Speed-Railway Technology Consulting Corporation(HTeC)を通じてTCに技術コンサルティングを実施しています。加えて、当社は日本のメーカー各社と協力してコアシステム受注契約に向けた準備活動を進めています。
北東回廊プロジェクト
北東回廊プロジェクトでは、ワシントンD.C.とニューヨークを結ぶ北東回廊へのSCMAGLEV導入を目指し、まずはワシントンD.C.〜ボルチモア間が日米両政府の協力のもとで進められるよう、プロモーション活動を実施しています。現在、現地では米国連邦補助金を活用した連邦鉄道局等による環境影響評価の手続き等が進む一方で、日本政府も米国での導入に向けた調査事業を実施しています。当社としては、プロジェクトが具体的に進展した際には、技術面から支援を行う方針です。
台湾高鉄への技術コンサルティング
日本型高速鉄道システムを採用している台湾高速鉄道を運営する台灣高速鉄路公司から技術支援の要請を受け、2014年度から技術コンサルティングを開始し、これまでに8つの個別案件を完了しています。今後、計画段階でコンサルティングを行ってきた工事等が本格化する時期を迎えます。当社は、引き続き台灣高速鉄路公司からの要請に応え、台湾高速鉄道の安全・安定輸送に貢献していく考えです。
日本型鉄道システムを国際的な標準とする取組み
一般社団法人国際高速鉄道協会(IHRA)を通じて、「Crash Avoidance(衝突回避)」の原則に基づく日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを継続しています。
過去の関連ニュースリリース
- 台灣高速鐵路股有限公司からの運行管理システムの更新工事にかかる技術コンサルティング受託について(平成29年6月16日)
- 当社子会社によるTexas Central Partners社 との技術支援契約の締結について(平成28年10月12日)
- 米国テキサス州における子会社の設立について(平成28年5月16日)111.2KB
- 東海道新幹線開業50周年 高速鉄道国際会議 ~飛躍する高速鉄道~ の開催について(平成26年5月29日)76.4KB
- 台灣高速鐵路股份有限公司からの技術コンサルティング受託について (平成26年4月9日)
- 「一般社団法人 国際高速鉄道協会」設立について (平成26年3月17日)58.8KB
- 高速鉄道システムの海外展開における協力について(平成24年10月24日)49.7KB
- ラフード米運輸長官 超電導リニア試乗(平成22年5月11日)
- 高速鉄道の海外事業展開について(平成22年1月25日)
- 高速鉄道シンポジウム(平成21年11月16日)