地域活性化に向けた取組み
沿線地域と連携した施策展開
営業施策の一環として、「さわやかウォーキング」、「デスティネーションキャンペーン(以下、DC)」等について、沿線地域との連携を深めながら取り組んでいます。さわやかウォーキングは、年間を通じた土日・休日の鉄道利用促進を目的とし、沿線各地の魅力ある自然や歴史、文化等に触れることができる予約不要、参加費無料のウォーキングイベントです。1991年に開始して以降、約590万人(2023年9月末時点)の方にご参加いただいています。DCは、春夏秋冬3か月ごとに対象地域を設定し、関係自治体とJRグループ旅客6社、旅行会社等が協力し、地域の新たな観光素材をPRして鉄道による誘客を図る国内最大級の観光キャンペーンです。当社沿線で実施されるDCでは、地域の魅力を堪能できる観光列車の運行、地域の方々と連携した観光素材や特典を盛り込んだ旅行商品の発売等を行ってきました。また、他社沿線で実施される場合においても、当社の駅構内で観光素材の魅力を幅広く認知していただくための宣伝を行っており、様々な関係者と連携しながら日本各地の観光誘客に取り組んでいます。
いいもの探訪
非鉄道分野での地域活性化の取組みとして、沿線の美味しい食べ物やこだわりの工芸品を産地直送でお届けするウェブサイト「いいもの探訪」を運営しています。地元で長年愛されてきた商品の紹介をはじめ、多くの皆様に沿線を身近に感じていただけるよう、オリジナル商品の開発や「いいもの探訪」の名を冠した催事、産地を訪問する体験イベントなどにも展開の幅を広げています。今後も、当社と各地で頑張られている生産者の皆様一体となって地域の魅力発信に取り組んでいきます。
「リニア・鉄道館」~夢と想い出のミュージアム~
当社は、名古屋市による「モノづくり文化交流拠点構想」に参画し、2011年3月、名古屋市港区金城ふ頭に「リニア・鉄道館」をオープンしました。「リニア・鉄道館」では、東海道新幹線を中心に、在来線から超電導リニアまでの展示を通じて「高速鉄道技術の進歩」を紹介しています。全部で39両の実物車両を様々な角度から触れることで、その迫力を実感いただけるほか、模型やシミュレータの展示を通して、鉄道のしくみや歴史を体験しながら楽しく学ぶことができます。2023年9月、開館以来の入館者数は累計で600万人を達成することができました。
大規模災害時の復興支援を通じた地域への貢献
大規模災害において電力会社が迅速な復旧をするためには、従事する方々が安全に作業できるような体制づくりが重要です。ホテルアソシア高山リゾートは、2020年12月、高山地区のホテル2社とともに中部電力パワーグリッド株式会社 高山営業所との間で災害支援協定を締結し、大規模災害時に優先的に宿泊施設を提供するなどの復旧支援を通じて、地域への貢献を果たしています。
地域コミュニティと連携した防災・復旧活動
南海トラフ地震が発生し、列車が駅間に停止したことを想定し、お客様を迅速に誘導する訓練を実施しています。これまでの訓練では、沿線の高校生及び自治体の皆様にもご参加いただき、地域と連携して防災活動等に取り組んでいます。
お客様に信頼され、親しまれるサービスの実践
当社では、お客様に安全・安定輸送と高品質なサービスを提供し、お客様にご満足いただけることが、私たち自身の歓びにもつながるという考えのもと、地域社会及びお客様に信頼され、親しまれるサービスの実践に取り組んでいます。新幹線では、「ブランドクオリティサービス運動」を展開し、お客様に安心・満足・歓んでいただくために、駅・車内の接客サービスの向上に努めています。近年ではネット予約等が増加していますが、旅慣れたビジネス利用、訪日外国人のお客様を含めた旅行等でのご利用等、様々なお客様のご要望に的確にお応えできるよう、知識技能の向上に努めるとともに、サービスマインドの醸成に、当社グループ一体となって取り組んでいます。在来線では、お客様にとって真に価値あるサービス、すなわち「リアルバリューサービス」の実現を目指しています。お客様に鉄道を選んでいただくため、ご要望に気付く力を高め、社員が能動的に心からの親身な行動を実践することで、お客様に「安心感」と、温かみや身近さといった「親和感」を感じていただけるサービスを提供しています。
地域に根差した医療機関の設置
(名古屋セントラル病院)
名古屋市中村区の名古屋セントラル病院は、地域の中核病院として年間3,800件以上の救急車受け入れのほか、年間1,800件以上の手術実施など、高度で良質な急性期医療を提供しています。今後も常に先進的で安全かつ質の高い医療の提供を通じて、地域社会に貢献していきます。
国際交流
当社は、視察受け入れや人材交流を通じた国際交流という形で、社会とのつながりを深めています。視察受け入れでは、外国政府や海外鉄道事業者の関係者を、東海道新幹線を中心とする鉄道関連施設へ案内し、鉄道運営等に係る意見交換を行ってきました。現地現物の視察を通じ、各国の鉄道関係者に安定安全輸送を支えるシステムへの理解を深めてもらうことにつながっています。人材交流では、英国の現地鉄道会社と相互に幹部社員を派遣し合う交換研修プログラムを運営し、鉄道の経営・技術に関して双方の社員が見聞を広め、研鑚を積む機会を設けています。また、米国の複数の大学と連携して、学生向けの夏期インターンシップ・プログラムを運営し、日本の鉄道や文化について深く学ぶ機会を提供しています。国外では、ワシントンD.C.・ロンドン・シドニーの3都市に海外事務所を設置し、海外の鉄道や最新技術関連の情報収集、各国の有識者や鉄道関係者との情報交換、海外向け広報活動等、国際業務を幅広く展開しているほか、現地での国際交流にも力を入れています。例えば英国では、現地の学校にて超電導リニアの仕組みを解説する出張授業を実施し、子どもたちが最先端の科学技術に触れる機会を提供しています。英国との交換研修及び米国大学とのインターンシップは、いずれも開始から20回以上を数え、リユニオン(同窓会)には多くの修了生が参加しています。当社を訪れた方々との間に長年にわたり育まれた厚い信頼関係は、当社が海外で行う種々の活動を支えています。
文化芸術・生涯学習の振興
(公益財団法人JR東海生涯学習財団)
JR東海生涯学習財団は、文化芸術や生涯学習の振興を通じた社会貢献を目的に、当社が1990年10月に設立した公益財団法人です。主な事業として、1991年10月に開館した「山口蓬春記念館」(神奈川県葉山町)では、新日本画の先駆者として日本画壇を牽引した山口蓬春画伯の作品等の展示や創作の場であるアトリエ、夫妻が愛でた四季折々の草花を回遊園路より堪能いただけます。さらに、生涯学習活動を支援するため、日本画等の様々な教室や史跡を巡る歴史移動教室の主催等、幅広い文化事業の活動を行っています。
人権に関する取組み(JR東海グループ人権方針)
当社は、人権尊重を基本に業務に取り組んでおり、社員の人権意識や人権感覚を高めることは、企業として社会的責任を果たすという観点からも重要であると考えています。当社は従来から人権を意識した採用活動、日頃からの適切なお客様対応、ハラスメント等の新たな人権課題も取り入れた教育・啓発、グループ会社との人権推進に関する情報共有、資材調達先への法令遵守・人権尊重の要請など、人権の問題に適切に対処しています。さらに、「JR東海グループ人権方針」を策定し、推進体制や研修等の具体的な活動内容とあわせて公表しており、人権尊重の業務運営に役立てています。