大井川の水資源と南アルプスの環境保全の取組み
南アルプストンネル静岡工区の工事にあたっては、地域の皆様のご心配の声を受け止め、ご不安を払しょくできるよう、真摯に取り組んでまいります。
南アルプストンネル静岡工区とは
中央新幹線の南アルプストンネルは、山梨県、静岡県、長野県にまたがる総延長約25㎞のトンネルです。静岡県内の延長は約10.7㎞で、そのうち静岡工区の延長は約8.9㎞です。
静岡工区のトンネル掘削箇所は大井川河口から100㎞以上離れており、大井川上流部に設ける西俣、千石の工事施工ヤードから斜坑を掘削して先進坑、本坑を掘り進める計画です。
大井川の水資源への影響について
静岡工区では、これまで環境影響評価法の手続きや関係者との協議を進め、静岡県や専門家の意見を踏まえ、まずはボーリング調査等により地質等の状況を事前に把握し、必要に応じて薬液注入を実施することなどにより、トンネル内の湧き水の量を低減することとしています。
静岡県内で発生したトンネル内の湧き水については、「導水路トンネル」を建設し、勾配に沿った自然流下と、ポンプ等の揚水設備を使ったポンプアップにより、全て大井川に戻すことを原則としています。
一方で、現在の工事計画では、山梨・静岡県境付近の断層帯を掘削する際、工事の安全性を確保するために山梨県側から上り勾配で掘削することとしています。この工事を行う期間の内、山梨県側から掘削する先進坑が静岡県側の先進坑とつながるまでの期間(約10カ月と想定)はトンネル内の湧き水は大井川に戻すことができず、この期間に限り、例外的に県境付近のトンネル内の湧き水が山梨県側に流れ出ます。
しかし、静岡県内の県境付近以外のトンネル内の湧き水を大井川に戻すことで、山梨県側へ流れ出る以上の量の静岡県内の山の中に蓄えられている量も含めた地下水がトンネル内の湧き水として大井川へ戻されるため、中下流域の河川流量は維持されるという解析結果となっています。
また、トンネル掘削に伴う地下水量への影響については、降水量や河川流量等の実測データや地下水の化学的な成分分析等の結果、下流部の地下水は上流域の地下水ではなく、中下流域からの河川の水と、下流域における降水が主な供給源となっていると考えられます。
そのため、導水路トンネルなどによって大井川の中下流域の河川流量が維持されることから、トンネル掘削による地下水量への影響は、河川流量の季節変動や年毎の変動と比べて極めて小さいと考えられています。
こうした当社の取組みや大井川の水資源への影響については、全13回にわたって国土交通省主催の有識者会議において議論いただいており、取りまとめられた報告書では例外的にトンネル内の湧き水が山梨県側に流出する一定期間を含めて、「中下流域の河川流量は維持される」、「中下流域の地下水量への影響は、河川流量の季節変動や年毎の変動による影響に比べて極めて小さいと推測される」などの評価を頂きました。
有識者会議の報告書や当社の取組みの内容についてはこちらからご覧ください。
田代ダム案の実現に向けた取組み
一方で、解析結果には不確実性が伴うため、当社は大井川流域で水資源をご利用になる皆様によりご安心いただけるよう、一定期間、山梨県側に流出するトンネル内の湧き水の量と同量を大井川に戻す方策の検討を進め、「田代ダム案」を取りまとめました。
田代ダムでは、発電事業者が大井川上流から発電のために取水し、山梨県側の富士川水系に放流しています。トンネル内の湧き水が山梨県側に流出する期間において、県外流出量と同じ量だけ、発電事業者に田代ダムの取水量を抑制していただくことで、県外流出量と同量を大井川に還元します。
関連する資料はこちらからご覧ください。
調査や解析に伴う不確実性とモニタリング
トンネル掘削にあたっては、突発湧水等の不測の事態が生じる可能性があります。当社は、そのようなリスクを認識した上で、大井川流域の皆様に安心していただけるよう、工事前、工事中はもとより、工事完了後も継続的にモニタリングを行います。
具体的には、川に流れる水、地下水、トンネル内に湧き出る水の量や水質等について、上流域から中下流域にかけて、幅広くモニタリングを実施します。
静岡工区の工事計画や、大井川の水資源に関する当社の取組みについて解説する動画やパンフレットはこちらからご覧ください。
南アルプスの環境保全について
当社は、南アルプスは豊かな自然が残る重要な地域であることを強く認識しており、南アルプスの環境保全のため、まずは影響の回避・低減措置を実施し、回避・低減が困難でやむを得ない場合は、代償措置を実施することで、その影響を最小限に抑えるよう努めてまいります。
トンネル掘削に伴う南アルプスの環境への影響については、全14回にわたって開催された国土交通省主催の有識者会議が取りまとめた報告書で、影響の予測・分析・評価、保全措置、モニタリングを行い、結果をフィードバックしながら、必要な見直しを行う「順応的管理」という考え方のもとで工事を進めていく当社の進め方は適切であると評価されました。
有識者会議で整理された内容を踏まえて、静岡県、静岡市等の関係者と双方向のコミュニケーションを図りながら、環境保全措置やモニタリング等に全力で取り組んでまいります。
静岡工区モニタリング会議
静岡工区の水資源、環境保全に関する有識者会議の報告書で整理された対策について、科学的・客観的観点から、その状況を継続的に確認することを目的に、国土交通省が静岡工区モニタリング会議を設置しました。
静岡県との協議の状況
静岡工区の着手にあたっては、他都県と同様、足かけ4年にわたる環境影響評価法の手続きを進めていましたが、静岡県からの大井川の水資源利用や南アルプスの環境への影響への懸念を受け止め、対話を重ねています。
静岡市との協議の状況
中央新幹線の事業区域となる静岡市とも、南アルプスの環境への影響や発生土置き場の安全性について対話を重ねています。
大井川流域市町・利水団体との対話の状況
引き続き双方向のコミュニケーションを通じて、大井川流域で水資源を利用されている方々のトンネル工事に伴う水資源利用に関するご不安を払しょくできるよう努めてまいります。
大井川の水資源に関する当社の取組みについてのご意見やご質問をお寄せください。
いただいたご意見やご質問につきましては、今後の取組みや地域の皆さまへのご説明に活かしてまいります。
ご提供いただいた個人情報は、当社が責任を持って管理し、当社からのご連絡時に使用するほか、個人を特定できない形での統計資料の作成に使用いたします。
ご意見・ご質問は、こちらよりメールでお送りください。
なお、ファイルが添付されたメールや本文中にURLが記載されたメールはお受けできませんので、ご注意ください。
お電話でもお受けいたします。お電話をご希望の方は、以下の電話番号にご連絡ください。
中央新幹線静岡工事事務所 054-685-1452
※受付日時:土・日・祝日、ゴールデンウイーク、お盆期間、年末年始を除く平日の9時~17時