超電導リニアによる
中央新幹線

将来にわたり使命を全うするために
首都圏〜中京圏〜近畿圏の3大都市圏を結ぶ高速鉄道の運営を使命とする当社は、超電導リニアによる中央新幹線計画を推進しています。

超電導リニアによる中央新幹線計画

健全経営と安定配当を堅持して計画を推進

当社は、自らの使命であり経営の生命線である首都圏~中京圏~近畿圏を結ぶ高速鉄道の運営を持続するとともに、企業としての存立基盤を将来にわたり確保していくため、超電導リニアによる中央新幹線計画を全国新幹線鉄道整備法(以下、「全幹法」という。)に基づき、進めています。
現在、この大動脈輸送を担う東海道新幹線は、開業から50年以上が経過し、鉄道路線の建設・実現に長い期間を要することを踏まえれば、将来の経年劣化や大規模災害に対する抜本的な備えを考えなければなりません。また、東日本大震災を踏まえ、大動脈輸送の二重系化により災害リスクに備える重要性がさらに高まっています。このため、その役割を代替する中央新幹線について、自己負担を前提に、当社が開発してきた超電導リニアにより可及的速やかに実現し、東海道新幹線と一元的に経営していくこととしています。
このプロジェクトの完遂に向けて、鉄道事業における安全・安定輸送の確保と競争力強化に必要な投資を行うとともに、健全経営と安定配当を堅持し、柔軟性を発揮しながら着実に取り組みます。その上で、まずは工事実施計画の認可を受けた東京都・名古屋市間を実現し、さらに、大阪市まで実現することとしています。
なお、当社は、全幹法の適用により経営の自由や投資の自主性等民間企業としての原則が阻害されることがないことを確認するため、法律の適用にかかる基本的な事項を国土交通省に照会し、平成20(2008)年1月にその旨の回答を得ています。

全国新幹線鉄道整備法の手続きの流れ

中央新幹線(東京都・大阪市間)の全幹法の手続きは図の通りに進み、当社は、平成23(2011)年5月に建設の指示を受けて以降、第一局面として進める東京都・名古屋市間において、環境影響評価法の手続きを進め、平成26(2014)年8月に最終的な環境影響評価書を国土交通大臣及び関係自治体の長へ送付するとともに、公告しました。また、環境影響評価法の手続きと並行して工事実施計画の認可申請に必要な準備を進め、最終的な環境影響評価書の送付と同日に、国土交通大臣に対し、土木構造物を中心とした品川・名古屋間の工事実施計画(その1)の認可申請を行い、10月に認可を受け、工事を開始しました。平成29(2017)年9月には、国土交通大臣に対し、電力設備や信号通信設備等の電気設備を中心に品川・名古屋間の工事実施計画(その2)の認可申請を行い、平成30(2018)年3月に認可を受けました。令和5(2023)年12月には、駅・車両基地の建築工事や設備工事、車両等を工事実施計画(その3)として申請するとともに、これまでに認可を受けた項目について、設計検討及び調査の深度化、協議及び工事の進捗等を踏まえ、工事予算や工事の完了の予定時期等の変更を申請し、認可を受けました。工事実施計画(その3)の認可により、品川・名古屋間の工事に必要な項目について全て認可されました。
引き続き、工事の安全、環境の保全、地域との連携を重視し、コストを十分に精査しつつ、各種工事を精力的に進めます。

なお、平成28(2016)年11月に独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法が改正され、同機構が当社に対し、中央新幹線の建設に要する資金の一部を貸し付ける制度が整えられました。当社としては、経営の自由、投資の自主性を確保し、健全経営と安定配当を堅持しつつ、長期、固定、かつ低利の融資による経営リスクの低減を活かし、名古屋開業後連続して、大阪への工事に速やかに着手し、全線開業までの期間を最大8年間前倒すことを目指して、全力を挙げることとしています。

太田国土交通大臣より工事実施計画(その1)の認可書を受け取る

太田国土交通大臣より工事実施計画(その1)の認可書を受け取る(平成26(2014)年10月17日)

中央新幹線(東京都・名古屋市間)の路線

この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の100万分の1日本を複製したものである。(承認番号 平25情複、第310号)

安全を確保したうえでコストを徹底的に圧縮

 中央新幹線は、当社が自己負担により進めるプロジェクトであり、全ての場面における工事費やコストについて、社内に設置した「中央新幹線工事費削減委員会」で検証し安全を確保したうえで徹底的に圧縮して進めるとともに、経営状況に応じた資源配分の最適化を図るなど柔軟に対応していく考えです。

超電導リニアと地球環境保全

 超電導リニアによる中央新幹線の実現により、東京~大阪間は最速67分で結ばれ、都心部間の実質的な所要時間は航空機の約半分に短縮されます。また、超電導リニアの場合、この区間を移動する際の1人あたり二酸化炭素の排出量は、航空機の3分の1程度に過ぎません。このように、超電導リニアは、地球環境保全の重要性が増す21世紀に相応しい輸送システムです。